ブリアン歯磨き粉は効果あるの?ステマや嘘が多いので医学論文を検証してみた

最近ブリアンという歯磨き粉の存在を知った。

 

子供向けの歯磨き粉なのだが、原理がちょっと特殊で、BLIS M18と呼ばれる虫歯にならないわずか2%の子たちだけが持っている特殊な唾液連鎖球菌の入った歯磨き粉で歯を磨くことで、虫歯菌を退治して虫歯にならない口内環境を作る、という原理のものだ。

 

虫歯に関する知識がゼロの人のために、少し補足で説明をしておくと、虫歯というのは3歳までの口内環境で、虫歯になるかならないかが決まると言われている。

 

どういうことかというと、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中は無菌なんだけど、親から口移しで食べ物をもらったりすると、親の虫歯菌が赤ちゃんの口の中で根付いてしまい、口の中に住まう口内細菌の勢力図が3歳までに固まってしまうというものである。

 

そこでBLIS M18を口に住まわせて、虫歯菌の居場所を3歳までに奪ってしまいましょう、というのがこのブリアンという歯磨き粉の考え方ということになる。

 

ここまでがブリアンに関する概要説明。で、問題は、この商品、アフィリエイトによる販売が盛んなこともあって、ブリアンの効果なり口コミ評判などを調べても、良いことばかりが書かれていて、一体何が真実なのかがよくわからない、みたいなことになってしまっている、というところにある。

 

こういうのは、実感だけじゃなくて、医学的なエビデンスがどうなのか、というところこそ知りたいのである。

 

ということで、しっかり検索する人は、まずはネガティブな情報を知りたいだろうから、そこから紹介をしよう。歯科医師の方が下記のような回答を寄せている。

ブリアン(BLIS M18)という歯磨き粉の効果について

ブリアンはBLIS M18が配合されているというのが特徴の歯磨き粉ですが、この成分は現在のところ歯科界では全くといって良いほど話題になっていません。

虫歯予防については世界中の専門家が日々研究をしていますし、こういった特定の成分の効果を調べるのは比較的簡単なので、もし本当に効果があるのであれば次々に報告が出てくるはずです。

pubmedで「blis m18」で検索すると2013年、2015年にそれぞれ1つ論文が出ていましたが、いずれも信頼性が低く、現時点では専門家として一般の人にお勧めする理由は全くありません。

 なるほど。歯科界で話題になっていない、というのは嫌な感じですね。フッ素のように虫歯を防ぐ効果が高いという強いエビデンスがあれば、もっと話題になるだろうに、それがないというのは、信憑性に不安が出てきましたね。

 

それではちょっと深掘りをしてみましょう。上記歯科医師の方が少し触れていたPubMedというのは医学論文サイトのことです。特定の成分が医学的に効果があるのかどうか、ニセ科学ではないちゃんとしたものが知りたいという人は、ここを見るといいです。全文英語ですけどね。

 

探し方のコツは、「ブリアン」という商標名ではなく、「blis m 18」という成分名で探すことですね。下記の通り。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?Db=pubmed&term=blis%20m18

 

2つ論文が出てきましたね。それぞれの論文の翻訳は下記の通り。この記事にアクセスが来るようならちゃんと訳してもよいけど、とりあえず今は時間かけたくないので自動翻訳で代用。

 

Influence of the probiotic Streptococcus salivarius strain M18 on indices of dental health in children: a randomized double-blind, placebo-controll... - PubMed - NCBI

子供の歯の健康の指標にプロバイオティクスストレプトコッカス・サリバリウス株M18の影響:無作為化二重盲検、プラセボ対照試験。

 

虫歯の有病率は増加し続けており、この傾向を逆転するための新たな戦略が必要に表示されます。プロバイオティクスストレプトコッカス・サリバリウス株M18は、それぞれ、歯垢の蓄積および酸性化を減らすのに役立つ可能性が重要な齲蝕原性種ストレプトコッカス・ミュータンス、ならびにデキストラナーゼとウレアーゼ酵素を標的とバクテリオシンを産生するように口腔の健康上の利点を付与する可能性を提供しています。 100う蝕アクティブ子供の無作為化二重盲検、プラセボ対照試験では、M18を用いた治療は、3ヶ月間投与し、参加者は、プラークスコアと歯肉と軟部組織の健康への変更のために、それらの唾液レベルに評価しましたS.サリバリウス、ストレプトコッカス・ミュータンス、乳酸菌、β溶血性連鎖球菌およびカンジダ種の。治療終了時に、プラークスコアが特に高い初期プラークスコアを有する対象に、M18-処置群の子どもたちのために有意に低かった(P = 0.05)でした。重大な有害事象が存在しない場合は、プロバイオティクス治療の安全性を支持しました。細胞培養は、M18が最も効果的にコロニー形成されているように見え方M18-治療を受けた小児のサブグループを除いて、具体的に列挙された口腔微生物の計数にプロバイオティクスとプラセボ群の間に差異を示さなかったシーケンシャル唾液サンプルの分析します。このサブグループは、コロニー形成の効率を増加させるとM18プロバイオティック治療の抗齲蝕活性を高めることができることを示す、S.ミュータンスの数を減少を示しました。これは、定期的に摂取した場合S.サリバリウスM18は、口腔の健康上の利点を提供することができると結論されました。

 

Cariogram outcome after 90 days of oral treatment with Streptococcus salivarius M18 in children at high risk for dental caries: results of a random... - PubMed - NCBI

無作為化対照試験の結果:虫歯のリスクが高い小児のストレプトコッカス・サリバリウスM18との経口治療の90日後のCariogram成果。

 

虫歯小児の最も一般的な慢性疾患です。 Cariogramはよく認識アルゴリズムベースのソフトウェアプログラムの異なるう蝕関連のリスク要因に基づいて、より客観的かつ一貫性のある虫歯にリスク評価を行う際に臨床医を支援することを意図しています。このタイプのアプローチは、虫歯の診断に先行し、歯科医が、リスクの患者を特定した後、虫歯がさらに発展する前に、適切な予防措置をとることができます。虫歯の発生を有利病因の一つは、ミュータンス連鎖球菌です。これらの酸産生歯垢の住民は、効果的にプロバイオティクスストレプトコッカス・サリバリウスM18(サリバリウスM18)によって解放バクテリオの活動により拮抗することができます。また、サリバリウスM18は、ヒト口腔粘膜に定着した後に酵素がデキストラナーゼとそれぞれ、プラーク形成および唾液の酸性度を中和することができますウレアーゼ生成します。虫歯のリスクが高い七十名の被験者は、治療または経口プロバイオティクスサリバリウスM18(Carioblis(®)を)含有する経口製剤で90日間処理していないいずれかの後、無作為化しました。結果はサリバリウスM18の使用がそのCariogramに基づいてリスクが高いと考え科目に採択される子どもたちに新しい虫歯の開発を回避する可能性が高まり、そのアプリケーションが歯科医の武器庫での新しいツールとして提案することができたことを示しています結果。

 

なるほど。この論文を見る限りは、前出の歯科医師の信頼性が低いというのはちょっと言い過ぎな印象ですね。二重盲検プラセボ対象比較試験でプラークスコアが有意に下がっているという結果が出ているので。

 

プラセボ比較というのは、人による思い込みの効果を排除するために、ニセの薬と比較して、それよりもブリアンが効果があるというのを確認するという方法。

 

二重盲検というのは、観察者や被験者の思い込みの効果(普通の歯磨き粉よりもブリアンのほうが効くんだ!みたいな)を排除するために、観察者も被験者も、どれがブリアンで、どれがプラセボかわからないようにするという方法。

 

つまり、二重盲検のブラセボ対象比較で結果を出したということは、それなりに効果があるという解釈をしても良いのではないかと私は考えますね。

 

正直調べる前は、ろくな検証方法で検証していないとか、もしくはPubMedに論文すらない、みたいな状況を想定していたので、それなりのエビデンスがあるなら使ってもよいんじゃないの、とは思いますね。歯科界で話題になっていない理由については気になるところですが。